さて今日は、先日に続き、「パート7を最後まで終わらせるぞい!」シリーズです。11月TOEICの「アリス松井の悪夢」、皆さん覚えていらっしゃるでしょうか。パート7のSPを必死に解いてきて、ようやく最後のSPだと思ってページをぱらりとめくったら、なんとそこには300ワードぐらいの長文記事があったわけです。マラソンでいえば、30km過ぎてから急な上り坂が目の前に見えた感じですね。しかも5問あるので逃げるわけにはいきません。
受験後にも話題になりましたが、ここで多くの受験者が時間を消費してしまった上に、ミスが多くて、ダメージを受けてしまったんですね。ラスボスを倒す前にかなりのダメージを受けてしまったわけです。で、DPを解く時間がなくなってしまい、リーディングが最後まで終わらないという事態が発生しました。記事中に出てきた人名にちなんで、これを「アリス松井の悪夢」あるいは「アリス松井の悲劇」と勝手に呼びます。
ちなみにこの人名は、NYヤンキースの松井選手にちなんで名づけられたのでは、という噂もありますが、そんなことを考えている余裕は多くの受験者にはなかったでしょう。ヒロ前田さんによると、W杯時期のTOEICでは、日本代表と同じ名字の「NARASAKI」や「OGURO」が出てきたそうですから、ETSも意外としゃれっ気があるようです。「石川」や「伊達」、「松坂」あたりがそのうち出てくるかもしれませんね。
と雑談はさて置いて、こういう長い記事が出てきた場合、有効なのが、「パラグラフリーディング」と呼ばれる手法です。まあご存知の方も多いかと思いますが、各段落の一行目だけを読み、記事の内容をつかむという読み方です。
英文記事では、一つの段落に一つの内容しか書かない、というのが基本です。で、その内容を凝縮した一文を、「トピックセンテンス」と呼び、大抵の場合、これは各段落の一行目に置かれます。このトピックセンテンスだけを読めば、記事全体の論理構成が把握できますし、どこの段落に何が書かれているかが分かるので、設問に対する答えを探す際にも、かなりの時間短縮につながります。
ですので、長文の記事が出てきたら、「ひゃっ」と悲鳴を上げつつも、「そうだ、ここはパラグラフリーディングの出番だ」と思い直し、各段落の1行目だけを読む作戦を取りましょう。もちろん、300ワード程度なら問題なくすらすら読める読解スピードの持ち主であれば、この手法を取る必要はありません。
最後になりますが、ついにパート5スーパー600問がほぼ完成しました。過去のTOEICを振り返りつつ、必須語彙などを散りばめて作ったので、これを一通り解いて、間違いの理由を把握し、文中に出てくる単語を覚えれば、稀に出題される難しい語彙問題以外はほぼ全問正解できるようになるはずです。完成度としては9割で、皆さんからのフィードバックや、今後のTOEICの新傾向をその都度反映し、随時更新していこうと思います。
以下のモニターについて、先ほど帰宅したところ、ちょうど10名の方からお申し出を頂きました。ありがとうございます! モニター受付は終了となりますので、ご了承ください。
ということで、40問15セットのうち、9セット分のモニターを募集します。お手数ですが、解くだけでなく、エクセルでの作業が発生しますので、あらかじめこちらの記事で作業内容をご確認の上、モニター希望の方は左記のアドレスにメールでご応募ください。応募が10名に達した時点で締め切りとさせて頂きます。また、モニターは、コメント等を通じて、交流のある方に限らせて頂きます。解いた感想や、本番と比べてどうだったか、などお知らせ頂けるとありがたいです。モニターはお一人様1セットお願いしますが、モニター希望者が10名に達しなかった場合、2セット分作業をお願いするかもしれません。返送は今週中であれば構いませんので、週末に解いて戻して頂いても結構です。
よろしくお願いいたします。
参考にして頂けた部分がありましたら、下のバナーをクリック頂けると嬉しいです。




問題はメールにてお送りします。
If I hadn't broken up with Hannah last month, I would have been going out with her for two years.
上記仮定法の問題ですが、気になって、大学の知り合いのAmericanに聞きました。意味はやはり、
If I hadn't broken up with H last month(but sadly, I did), today (the day the speaker is speaking) would have marked two years since our first date.
でよいそうです。2年交際のanniversaryは話者にとって今日迎えるわけですので、日向先生説の、別れた先月に2年になる という意味ではないわけです。
この仮定法の文章、とても意味があり味わいが深いと思います。would節がwould have beenになっているためtenseを誤解させやすいというのもおもしろいですが、仮定法を使用する意味(話者の感情表現)をよく理解させるよい例文です。仮定法にすることで、ちょっと前にガールフレンドと別れたが今でもまだまだ未練たっぷりな男の感情がよく伝わってきます。そんな男の感情を高校生がわかるのかという問題もありますが、文法の授業で仮定法の規則を形式的にかじっただけで、この文章の意味を1発でわかる高校生は少ないのではないかと思います。仮定法の理解はたくさんの英文(本でも会話でも)に触れてストーリーの中で経験しないとなかなかむつかしいでしょう。最近のゆとり教育の中で、中学-高校の6年間で触れる英文は、ペーパーバックにしてわずか15ページだそうです(15冊ではなく!)。そんな状態で仮定法の深い理解は難しいでしょうね。6年間も英語を勉強して日本人はなぜ英語ができないのか?という議論がありますが、やはり読む絶対量が圧倒的にすくないという現実があるようです。
お仕事見つかって一段落したら、(私は英語教育とは何の関係もないのですが・・・)、いつか一杯のみながら(私おごります)英語談義したいですね。
I probably would have instructed my students to write; “I went out with Hannah for 23 months, but broke up with her last month” or “Hanna and I dated for 23 months until we broke up last month. “
と、日向先生に近いようです。まあ、どちらにも取れる、というのが正しい解釈な気がしますね。それが入試の問題として適切かというと微妙ですが。
私も勉強になりました。仕事が無事見つかりましたら、是非英語談義をしましょう。

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