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前置詞か接続詞か
今日はNYタイムズの記事から、ちょっと難し目(?)の問題です。パート5は、本番では30wordsを超えるものはまず出題されませんが、練習のためにあえて長い文章を問題にしました。

------- the fact that the unemployment rate for baby boomers has doubled since the start of the recession, what the federal government calls their “labor participation rate” — the number of 45- to 64-year-olds working or actively seeking work — has remained unchanged.

(A) despite
(B) because
(C) although
(D) due to

いかがだったでしょうか。選択肢を見ると、「前置詞VS接続詞」というTOEICの定番メニューですね。毎回のように出題されると言うことは、毎回間違う人がいる、ってことです。全員が正解するようになったら二度と出題されません。この問題、このブログの読者のレベルなら正解されたでしょうか。正解は(A)despiteです。

恐らく、上級者の方は、空欄直後のthe fact thatを、同格のthat節(the unemployment~recession)で説明されるfactという名詞と捉え、名詞の前に置かれるから、ここには前置詞が入る、だから(A)か(D)が残るけど、前半が後半の理由を説明しているわけではないので、正解は(A)だ、といった思考パターンで解けたかと思います。「景気後退が始まって以来、ベビーブーマーの失業率が二倍になったという事実にもかかわらず、政府が「労働力参加率」と呼ぶ数字を見ると、45-64歳で就業している、または就職活動中である人の数は変わっていない」ということですね。不況のあおりで他の年齢層ではこの率が下がっているのに、ベビーブーマーはオヤジパワーで頑張っている、ということです。

私が実際にTOEICを教えてみて分かったこととして、こうした問題では、(C)を選ばれる方がいらっしゃいます。接続詞を選んでしまうわけです。後ろが名詞ならdespiteかin spite of、後ろが文ならalthoughかeven thoughを選ぶ、と覚えていても、that節の中にS+Vがありますから、やや複雑な構文になると、どちらを選んだらいいか分からなくなってしまうのだと思います。

もちろん、factのように、同格のthat節を導く名詞の代表的なものを押さえる、あるいはTOEICでは空欄後にthe factを見たら前置詞を選べ、という解答方法もあるでしょうが、たとえば、------- the fact that (S+V) is~, S+V という形なら、接続詞が正解になってしまいます。まあこんな複雑な構文が30words以内のパート5で出題されることはまずないでしょうが。

もちろん、上級者の方は構文を読み解く力がありますから、さっと正解できると思いますし、正しい英語感覚で解くのが一番です。とはいえ、初中級者の方はそうも言っていられないので、解答のための一つのスキルとして、「文の中の述語動詞の数から1を引いたものが、接続詞・関係詞の数になる」という、受験参考書のテクニックが使えるのではと思います。

例えば、上記の文であれば、以下のステップで解きます。

1. 述語動詞の数を数える(分詞や不定詞、動名詞などは数に入れない)
この文では、has doubled, calls, has remainedと3つあります。

2. そこから1を引いたのが接続詞・関係詞の数
この文では3-1=2になります。

3. 接続詞・関係詞を探す
the fact that theのthatは、冠詞の前にあるので、これは「あの」の意味の代名詞ではありません。ということは確実に接続詞か関係詞です。ここでは同格のthat節を導く接続詞です。それと、whatが見つかります。これは関係詞です。疑問文で使われるwhatではありませんね。ということは、thatとwhatで既に2個接続詞と関係詞があることになります。

つまり、文頭には接続詞が置けないことになるので、少なくとも接続詞のalthoughが不正解であることが分かります。

これはあくまで一つの解法であって、関係詞が省略されているケースもありますし、過去分詞と過去形が同じ形の動詞の場合、どちらかを見分けなければいけませんから、簡単ではないかもしれません。比較的文中の接続詞・関係詞、述語動詞が明らかな場合、前置詞か接続詞のどちらを選ぶか迷った場合、この方法が使えるのでは、と思います。

いよいよTOEICが3日後に迫ってまいりました。皆さん、体調を万全にして、2009年の有終の美を飾りましょう。


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Comment

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悔しい・・・
43 wordですかぁ

それなりにヒッカケを注意していたのですが、節の長さに集中力続かず、ご指摘のとおり まんまと (C)を選んでしまいました。 思うツボですねぇ

(ものすごく)悔しいです ザブングル加藤風に
カズ | URL | 2009/11/26/Thu 14:25 [EDIT]
英文解釈本
こんにちは。いつも楽しくブログを拝見させていただいています。
近くの本屋で読解特急を買い、今度のTOEICに向けて勉強しています。

私はリーディングが苦手で、英文解釈本も買おうと思っているのですが、
人によっては英文解釈本で勉強するより、とにかく簡単な洋書を多読した方が良いという先生方が大勢おられます。
私としては、「英文解釈本で勉強してから多読」というやり方でやろうと思っているのですが、英文解釈本で勉強することがリーディング力をアップさせる妨げとなるのなら、英文解釈本を買わずに多読をやろうと思うのですが、TEX加藤さんのご意見をお聞かせください。
Tonta | URL | 2009/11/26/Thu 16:20 [EDIT]
カズさん
そうですね。やはり節が長いと名詞だと感じられなくなってしまいますよね。英語感覚をどんどん磨かれれば、そのうち自然に感じられるようになりますよ。頑張ってください。
TEX加藤 | URL | 2009/11/26/Thu 16:41 [EDIT]
Tontaさん
こんにちは。私は、伊藤和夫さんの「ゆっくり読めないものは、早くは読めない」の主張が、少なくとも一般の日本人には当てはまると思います。もちろん、読みたい本がたくさんあって、とにかく読書が好きなら、洋書を多読して英語感覚を身につける方法もあるとは思います。膨大な量を読めば、自然な英語感覚は身に付くでしょうが、そこまでたどり着くのは大変です。ですので、英文解釈本で基礎を身につけて、そこから多読に入る、というやり方は決して間違っていないと思います。評判の良い英文解釈書を、何でもいいので、しっかりと1冊を仕上げて、そこから多読に入っても、回り道にはならないないと感じます。頑張ってください。
TEX加藤 | URL | 2009/11/26/Thu 16:47 [EDIT]

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