Critical Period Hypothesis
参考にして今日は水曜日提出予定の大学のレポートと、本日提出予定の企画書の作成があるため、手短な内容になります。と書きつつ、これぐらいの長さの方が読みやすい気もしますね。

大学に提出予定のドラフトの内容が、「Critical Period Hypothesis」というテーマなのですが、これが結構面白いんです。まだ調べ始めたばかりなので専門知識が足りないのですが、要は、「ある一定の年齢を過ぎると、言語習得に必要な能力が失われ、ネイティブと同等の言語能力を身につけるのは不可能になる」という理論です。

この理論については、現在もまだ論争が続いています。理論自体が正しい正しくない、発音はそうだがボキャブラリーには当てはまらない、6歳が境目だ、いや10代後半だ、などなど。本当にざっと文献のタイトルを読んでいるだけでも意見がいろいろとあります。

ブログ読者の英語学習に対する意欲を削ぐようですが、日本生まれの日本育ちで海外在住経験がない、もしくは、大人になってから海外移住し、ネイティブが判定してもネイティブと聞き分けられない英語を話す日本人、という例は、そうした調査の中では見当たりません。それ以前に、日本人被験者の例自体がほとんどないんです。

10代後半を過ぎてから英語に接し、ネイティブ同等の英語を話すようになった、という例は、オランダやスペイン、ドイツといった国の母語話者でレポートされていますが、それもあらかじめ準備されたテキストの読みあげや単文が主なので、自由会話ではネイティブレベルではない、と指摘する声もあります。

現状では、日本語と英語との言語的な距離が大きいので、最初に言語に触れる時期が遅ければ遅いほど、ネイティブライクな言語習得に壁があるのは確かだと思われます。「うーん、やっぱり中学校で英語を習い始めたやり直し英語組の自分はネイティブになるのは無理かあ」と思うと、モチベーションが下がる人もいるでしょうか。ただし、トレーニング次第で、ネイティブと同じとはいかなくても、多少のアクセントはあるものの、自由に英語を操る例はもちろんいくらでもあります。CPHについての論争も、あくまで「ネイティブと同じかそうでないか」をポイントとしているだけです。

大前提として、我々一般の英語学習者の目標のほとんどは、ネイティブになることではなく、英語の運用能力を高め、自分の人生の目標を達成するための手段とすること、ではないかと思います。母語は日本語ですからね。そういう視点では、別に英語学習のスタート時期が遅いとネイティブにはなれない、としても、問題はありません。自分たちの母語である日本語に誇りを持ちつつ、第二言語である英語の言語習得レベルを上げることで、人生が豊かになればそれでいいですよね。

そう考えるとむしろ、ネイティブと同じではなくとも、高い英語運用能力を身につけている人がいる、という部分に目を向ければ、こうした研究成果にも勇気づけられるのではないかと思いますし、そうした形でレポートの方向性をまとめようかと思っています。


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Comment

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とても示唆に富むトピックですね!
初コメントです。いつもブログを拝読させていただいています。英語を学習するうえでのゴール設定はとても悩ましい問題だとは思いますが、日本人学習者も良い意味で「割りきること」が必要なのかなと思いました。
半人前シェフ | URL | 2009/11/02/Mon 10:15 [EDIT]
SLA ネタに食いつきます(笑)
L1 習得に関しては、臨界期を過ぎてから母語話者となることは不可能と考えられていますが、L2 習得に関しては L1 習得のよりも複雑ですよね…。最近特に小学校英語教育関連で安易にこの「臨界期仮説」が取り上げられたりするので、「んー、そうじゃないんだけどな」と、その説明不足ぶりに困ったりします。

個人的には、L2 習得における年齢の問題について、「臨界期(Critical Period)」よりも「敏感期(Sensitive Period)」という term を好んで使っています。絶対的な「臨界」ではなく、傾向として「敏感」である、としか現段階では言えないと考えます。しかもそれはある特定の言語の側面(特に音声)についてで、それだけで年齢による言語習得への貢献を過大評価して、「早けりゃいい」「遅いともうダメ」と考えられる(ようなキャッチコピーを目にする)のは危険だなぁ、と日々感じています。

TEX さんのおっしゃる、「大前提として、我々一般の英語学習者の目標のほとんどは、ネイティブになることではなく、英語の運用能力を高め、自分の人生の目標を達成するための手段とすること、ではないか」というお考え、全く同感です! というかほとんどの学習者はこう考えていると思います。そして「別に英語学習のスタート時期が遅いとネイティブにはなれない、としても、問題はありません」ですよね! World Englishes という考えもあります。(これについても言いたいことはいろいろとありますがさらに長くなってしまいますので控えます…汗)わたしも、日本語母語話者としての誇りを持った英語の使い手になりたいです。
あーひゃ | URL | 2009/11/02/Mon 10:52 [EDIT]
日本人として
ネイティブになれなくても、全然いいのだと思います。むしろ、日本人ネイティブとして、誇りを持って、英語を使うべきだといつも思っています。
世界的にも、ノンネイティブで英語を話す人の数の方が、英語ネイティブよりも圧倒的に多いのですから、自信もって日本人として国際舞台に立ってほしいです!
先日のある調査でも、自分の国を誇りに思うか、とか、有事の際に進んで自分の国のために戦うか、という質問があったのですが、日本人のはいと答えた割合のあまりの低さに愕然としました。

戦後教育もあるのかもしれません。コンプレックスもあるのかも。でも日本人として、もっとしっかりして~とよく思います。英語に関しても、英語ネイティブになんかなろうとしなくていいから、自分をしっかり持って!と思います。
それぞれの人が、自分の国や言葉、文化に誇りを持ち、その上で相手の国のことを受け入れて理解しようとする姿勢が一番大切なのではないでしょうか。

英語教育ももちろん大事ですが、その前に、違う文化や民族、英語以外の言語など、地球上にはたくさんの異なる国がありいろんな人がいるけれど、基本的にみんな同じ人間だという教育も大事だと思います。
日本は特に、ほぼ同じ民族で島国ですから。
海外旅行に行く日本人はとても多いかもしれないけれど、旅行先の実際の現地の生活や人々の普段の生活に触れて理解しようとしている人が、どれだけいるでしょう。

うちの子供たちにも常に、目や肌の色が違う人、障害を持った人、ゲイの人、生まれたときに神様がそれぞれの人に与えたものが違うだけで、みな同じなんだと話しています。
もちろん、世界語として英語を使えたり、極めていたりするのはとてもすばらしいことですし、英語学習を通じて、世界のことを考えたり日本のことを考える人がどんどん増えればと思います!

長くなってすみません。
私も英語を使って仕事していて、日々英語に触れて極めようとしていますが、英語が伸びれば伸びるほど、日本が好きになります。
英語がぺらぺらなのがかっこいいのではなくて、英語で話せる何かをちゃんと持っている人が、かっこいいのだと思います。
日本語なまりの英語がかっこいいんです。英語ネイティブになりたいなんて、そこまで媚びなくていいんですよ~。
日本に来ている外国人観光客に必死で英語を使って話そうとするのではなく、日本に来てるなら日本語もうちょっと勉強してから来たらと日本語で言えるような気概を持ってほしいなあ。
(いえ、もちろん完璧な英語じゃなくてもいいのでちゃんと英語で助けてあげましょう。中学英語で十分に伝わるはずです!)

TOEICで高得点をとる必要がある方や、いろいろな理由で英語学習されている方がいらっしゃると思います。私もある時までは、ネイティブにネイティブだと間違われるくらいの英語力をつけたいと思っていましたが、今はどうでもいいです。日本人として第二言語をこれからもずっと学んでいきたいと思います。
chip | URL | 2009/11/02/Mon 11:27 [EDIT]
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| | 2009/11/02/Mon 18:55 [EDIT]
半人前シェフさん
はじめまして。ゴール設定は難しいところですが、時折立ち止まって、自分なりの英語学習の目標を見定めることって大切だと思います。とはいいつつも、私も試行錯誤していますが。
TEX加藤 | URL | 2009/11/02/Mon 21:46 [EDIT]
あーひゃさん
おわ。SLAネタになると食いつきますね(笑) 確かに数々のリサーチでも、Sensitiveという言葉が使われていますね。おっしゃる通り、我々は日本人ですので、日本語を一番大切にしつつ、英語での意思疎通が自由にできるレベルを目指したいですよね。
TEX加藤 | URL | 2009/11/02/Mon 21:52 [EDIT]
chipさん
あーひゃさんに続き、熱いコメント、ありがとうございます! おっしゃっていること、私もその通りだと思います。英語学習を通じて得られることはもちろんたくさんあって、英語学習自体は素晴らしいことだと思いますが、ネイティブ至上主義になってはいけないと思うんです。とはいえ、話すべき内容が乏しいと言語以前の問題ですから、そっちをまずは充実させないといけませんよね。互いに第二言語としての英語を、しっかり学び続けていきましょう!
TEX加藤 | URL | 2009/11/02/Mon 21:59 [EDIT]
隠しコメントさん
小学生からの英語早期教育にはメリットもあるでしょうが、いわゆる「言語帝国主義」にならないよう、日本語の大切さや、英語学習の意義も合わせて教えてほしいですよね。
TEX加藤 | URL | 2009/11/02/Mon 22:05 [EDIT]
カンザスより。
こんにちは

僕も、critical ageの文献を読んでしょんぼりしました。現在は、アメリカのカンザスの大学院でビジネスを学んでいます。カンザスは、大都会と異なり異なる人種はそれほど多くないですが、それでもいろいろなアクセントがあります。黒人、ヒスパニック、アジアンアメリカン、みんなそれぞれ独特の英語を話します。南部出身の人もいますが、僕には英語かどうかも分りませんでした。渡米前はNOVAに通っていましたが、やはり国により発音は全然違いましたね。カンザスの人は、oftenをオフトゥンと発音します。multicultureをマルタイカルチャーと発音します。僕の英語は日本語なまりが強いですが、それでも最近は良いかなと思っています。ゆえに、Japanese Englishに関してはまったく問題ないと思います。アメリカ人でも文法を知らない人は多いです。ゆえに、僕の間違いだらけの英語もありかなと思います。

先日、カンザスでアメリカ在住歴30年の男性に会いました。彼は日本人です。英文学科の教授に彼はアメリカ人かと思ったと話されていました。日本語のアクセントがまったく消えていたそうです。

アメリカで育っても家でスペイン語を使うヒスパニックは、母国語のアクセントがあります。日本で育ってもアメリカで20年とか長期間住むとひょっとしたら、日本語のアクセントが消えるケースもありそうです。

ではでは
kazu | URL | 2009/11/06/Fri 06:59 [EDIT]
kazuさん
こんにちは。カンザスからのお便り、ありがとうございます。異国の地で頑張っていらっしゃる方からのコメント、励みになります。

海外在住歴の長さと発音との関係よりも、むしろ、AOA(Age of Arrival)が大切だというテスト結果を読みました。つまり、20歳から30年米国に住んでいるよりも、3歳から20年住んでいる人の方がアクセントが消える、ということです。もしかするとその方は幼い頃に米国に渡られたのかもしれません。もしくは、日本語を全く使わない状態で長期間暮されたのかもしれませんが、その場合、母語に影響が出る、とのテスト結果も読みました。

いずれにせよ、kazuさんもおっしゃっている通り、いろいろな国の方がいろいろな英語の発音で話されている中で、日本人として日本語なまりの英語で十分だと思いますよ。ワールドイングリッシュですから、どの英語の発音が正しいということはないし、それよりも話す内容が大切です。kazuさんが、学ばれているビジネスについて、内容のある話をされれば、発音に関係なく、皆聴き入るはずです。是非、大和魂で頑張ってください。

TEX加藤 | URL | 2009/11/06/Fri 08:27 [EDIT]

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