「基礎がしっかりしているからこそ、応用もできる。基礎のない応用なんてありえないのである。言葉を変えるなら、基本となる『型』を身につけているからこそ、それを進化させた『型破り』ができるのだ。(中略) 『型』の習得というファーストステップを無視して『型破り』を試みたところで、なにひとつ成功しない」(「個性を捨てろ! 型にはまれ!」三田紀房著 だいわ文庫)
「瑣末な文法的分析ではなくて、英語の理にかなった全体像を総合的に把握してもらえたらいいな、一定の原理さえ身につければどれほど応用がきくものかを全体を通じてわかってもらえたらいいな、というのがこの拙い講義のひそかな願いだったからです」(「山口英文法講義の実況中継」 山口俊治著 語学春秋社)
TOEICを10回続けて受け続けてみて感じるのは、基本の応用ですべての問題が解けるということです。まあたまに、今年の5月のパート1の10問目みたいに、ネイティブも間違って採点対象外になるような問題もありますが、それは例外です。リーディグでも、英検1級の語彙問題のように、高い語彙力がないと絶対に解けない問題はありません。
例えば、今年のパート5の語彙問題で、選択肢にadmonish(戒める)という単語が混じっていたことがありましたが、そういう難語が正答になるケースはほぼゼロです(このケースでも不正解)。仮にその単語の意味が分からなくても、ほとんどの場合他に正解になる答えがありますし、万が一他の3つの選択肢がすべてが正解でなければ、消去法で解けることになります。ですので、もし仮に990点を目指すとしても、市販されている難語を集めた単語集を暗記する必要はありません。たくさんの英語に触れることで、基本単語をいかにフレキシブルに使いこなせるかの方が大切です。
ということで、公式問題集4のパート7に登場した表現からの1日1問です。問われているのは基本単語ですが、解けるでしょうか。
Thanks to steady rain, U.S. farmers are on ------- to produce their second largest corn crop and fourth largest soybean crop in history, the government said Tuesday.
(A) rate
(B) increase
(C) pace
(D) stage
いかがでしょうか。まず、語彙問題なので、文意を考えます。「火曜日の政府発表によると、安定した降水量のおかげで、米国の農家は、コーンは史上二番目、大豆は史上四番目の収穫量になる生産ペースだ」ですね。ということで、正解は、(C) paceです。
他の三つの選択肢を見ると、それっぽいのですが、まず(A)rateを正解にしたければ、at this rate(この調子なら)です。(B)increaseも、on the increaseで増加中という意味はありますが、theがないし、安定した降水量で農家が増えた、は変ですね。Influenza is on the increase this time of the year. なら、一年のこの時期はインフルエンザは増加傾向にある、です。最後の(D)stageは、on stageで日本語でも「オンステージ」っていいますよね。文字通り、「舞台に上がって」「ステージ上で」の意味です。stageには「段階」の意味があるので、悩んだ末に裏読みして、「ここは意表をついてこれだ、正解なの俺ぐらいかも。フフ」なんて思うのは妄想です。
選択肢はどれも基本単語ですよね。それをいかに使いこなせるか、を問う問題の例でした。
うーむ。我ながらTOEICっぽい良問ができた。これ、ETSの中の人が感心して、近い将来TOEICで出るかもしれんなあ。フフ(微笑) え、そうでもないって? す、すみません。これこそ妄想でした。
0911って書いて思い出したのですが、あの米国同時多発テロの日ですね。会社から帰宅して、TVでリアルタイムで見た映像は衝撃的でした。世界の平和をささやかながら祈りたいです。
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学習者が難しいと思う問題は記憶に残りやすいんですけど、今回のような基本語で構成された問題ってなかなか見落とされがちなんですよね。「ふーん、たまたま間違っちゃった」と素通りされる可能性もあると思います。
学習者が難しかった/簡単だったと思う問題と実際の正答率のギャップのデータを何百人の規模でとってみたいですよね。学習者が簡単だと思ったけど、正答率が低い問題こそが、TOEICらしい問題と僕には思えるからです。
マニアックすぎましたか? 英語の教師になられるのですから、マニアックな話題もたまにはいいですよね(爆)

何事も型を守ることが大切だということを、再認識させられました。ありがとうございました。
基礎力がないと結局会話やちょっとした場面で意思疎通がうまくいかなかったりするんですよね。
TOEICの公式問題集で、私のリスニングで間違うパターンは「聞こえているのにどの答えがマッチするのかわからない」です。
基礎知識のなさのあらわれです。
そこで最近は原点に(?)立ち返り、即ゼミをやっています。
即ゼミ、すごいです。さすがの大学受験問題集です。TOEICででる表現や基礎文法がたくさんでていて・・・間違いまくりです(苦)
次の10月のIPテストにむけて、今回は基礎力アップにがんばります。
ここのところ毎日コメしてますが暇だからじゃないんですよ(笑
今日の問題をやってみて正解はしたものの(A)と(B)を誤答とする自分の根拠があいまいだと思いました。
副詞句のストックが少ないのでしょうね。メモ、メモ。
なんかみんながTOEICにはまる気持ちがだんだんわかってきた。
ちなみに一番最初にやるべき問題集はなにがいいのでしょうか?
最初に取り組むべきは、やっぱり公式問題集ですね。解くだけではなくてフル活用するべき問題集です。最新刊の4がちょっと難しいので、3でもいいと思います。ネックは値段が高いことと解説が少ないことです。そこは他の参考書で補てんしないといけません。お持ちのキムタツ本等のサポートが必要ですね。

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