英語でタンカを切る
「小説盛田昭夫学校(江波戸哲夫著 講談社文庫)」を読みました。元ソニー社長で、英語の達人としても知られた盛田昭夫さんの生涯を描いたノンフィクションです。文庫版とはいえ、上下巻それぞれが500ページある大作ですが、英語学習者にとっても非常に勇気が出る一冊です。英語を仕事に生かしたいと思っている方には是非読んで頂きたいですね。

ソニーといえば今や世界を代表する国際企業ですが、その先鞭をつけたのは間違いなく盛田さんです。盛田さんは、伝統ある造り酒屋の長男として生まれ、留学経験はおろか、初めて渡米されたのは30歳を超えてからです。それが、「ソニーをグローバルな企業にする」の使命に燃えて、自らの足で自社の商品を世界中で売り歩き、ジャパニーズイングリッシュを駆使して世界と渡り合い、「東京通信工業」を「世界のソニー」にするまでのストーリーは圧巻の一言です。

英語という視点でみても、「ケネディ議員から電話です」「サッチャーさんに連絡してみるか」って、ビッグネームが普通に出てくるのにびっくりしてしまいます。海外のバイヤーや要人を相手にしても、まったく臆するところがなく、自説を英語で主張して、尊敬を集めてビジネスに結び付けてしまうのですから、まさに我々英語学習者のロールモデルの一人であることは間違いありません。こんな日本人めったにいませんよね。

ソニーと言えば、「英語でタンカの切れる日本人募集」という広告が有名ですが、それを身をもって証明してくれた盛田さんの生き方を見ていると、「日本人英語でいいんだ。それより話の中身を磨かないと」って本当に元気が出てきます。

最後に、盛田さんが、自社で開発したトランジスタラジオを持って米国を営業で行脚した際の有名なエピソードをご紹介します。ブロークンイングリッシュで米国の販売代理店を求めて盛田さんは全米行脚をしますが、無名だったソニーの商品は当然見向きもされず、苦戦します。そんなある日、その商品のよさを認めてくれた時計メーカーのブローバという会社から、10万個もの注文をオファーされます。以下その部分の抜粋です。

そんなに大量に買ってくれるのか? 盛田はその数字が信じられなかった。しかしその次に続く言葉のほうがもっと驚きだった。

「ただし、ブランドは当社のものをつけてもらいます」

つまり、ブローバ社は、商品はいいけどOEMでないと注文は出せない、と言ってきたわけです。資金繰りに困っていたソニーとしては、喉から手が出るほど欲しい注文ですが、ブローバのブランドで販売したのでは世界のソニーを目指すためのこれまでの努力が無駄になってしまいます。困った盛田さんはホテルに帰り、本社に電報を打つと、すぐに返信がきます。

「断るのはもったいなし、注文を受けよ」

盛田さんは悩みぬいた揚句、この申し出を断ることに決めます。すべてはソニーを世界のブランドにするためです。その結論を伝えると、先方の若いマネージャーは、信じられないといった表情でこう言います。

'Our company is a famous brand name that has taken over fifty years to establish. Nobody has ever heard of your brand name.'

ここで盛田さんは今では伝説となっている言葉で切り返します。

Morita replied, 'Fifty years ago your brand name must have been just as unknown as our name is today. I am now taking the first step for the next fifty years of my company. Fifty years from now I promise you that our name will be just as famous as your company name is today.'

いや、格好良すぎ、ですね。50年後、この2社のブランド名がどうなったかは言うまでもありません。ちなみに、このときの決断を、盛田さんは、It was the best decision I ever made. だったと後に述べられています。

私も英語を使ってどんどん海外にビジネスのオファーをしなければ、と思わされる一冊でした。世界中で大ヒットする商品をいつか生み出してみたいものです。


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Comment

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シビレました!
このくらいガツンと言いたいものですね。
日本人は中身で勝負です!
ルンバ | URL | 2009/06/06/Sat 19:57 [EDIT]
ルンバさん
本当に、シビレますよね。米国の要人に対してヘラヘラしているだけにしか見えない政治家の
皆さんにもこれぐらいのことを言ってもらいたいものです。
TEX加藤 | URL | 2009/06/06/Sat 20:10 [EDIT]
素晴らしい~!
また、いいご本を紹介していただきました!
日本の政界にも盛田さんのように諸外国と対等に渡り合える方がいないものでしょうか。

追伸:私もTEXファイルにはお世話になりました~。
コピーを取り出している人は他にいないかと、あたりをキョロキョロしちゃいましたよ。(笑)
Nemo | URL | 2009/06/06/Sat 21:44 [EDIT]
『「見た目」の流儀』 岡野宏さん著
こんばんは、TEX加藤さん。

「着こなしは一分のすきもなく、彼が部屋に入ってきただけで、その場の空気がピーンと張る・・・ニューヨークでもブリュッセルでも『ソニーの盛田』はベストドレッサーで通っていた」そうです。

爪のお手入れもされていたそうで、「ヨーロッパでは、女性に対する礼儀だそうですよ。女の人に触れた時に傷つけてしまわないようにね」とのことです。

本当に格好良すぎですが、素敵なロールモデルのお一人です♪ ご紹介の本、読んでみます。
joyjoy | URL | 2009/06/06/Sat 22:03 [EDIT]
すばらしいです
こんばんは。TEXさんの記事は、ためになる記事が多いのですが、とりわけ今回の記事は秀逸だと思いました。
自分にも夢をもって努力する勇気を分けていただきました。
ohito | URL | 2009/06/06/Sat 22:50 [EDIT]
Nemoさん
本当に、日本の政界に、盛田さんのように海外から畏敬を集める人物が登場するといいですよね。

あ、さすがにTEXファイルはそこまでの影響力はないかと(笑) 早くTEXって大きく書かれた表紙を刷って、ネットで高額で販売する手筈を整えねば(フフフ)。
TEX加藤 | URL | 2009/06/06/Sat 22:50 [EDIT]
joyjoyさん
ベストドレッサーですか。きっとオーラが漂っていたんでしょうね。

「ロマンスグレー」って言葉を広めたのも盛田さんなんですよね。本当に格好いいと思います。

是非、お時間あれば本読んでみてください。
TEX加藤 | URL | 2009/06/06/Sat 22:52 [EDIT]
ohitoさん
英語を単なるTOEICのスコアアップのために勉強するのではなく、盛田さんのように、英語を使って自分の夢を達成することができれば素晴らしいですよね。互いに頑張りましょう!
TEX加藤 | URL | 2009/06/06/Sat 22:54 [EDIT]
知りませんでした
ぜぃぜぃぜぃ(_xx)_・・・・息も絶え絶えの一日3エントリーでした。問題も全部やり終えましたぜ。(^-^)v

ソニーにこんなエピソードがあったんですね・・・
なんか、嬉しいですね、こういう話を聴くと。やはり自分の信念を胸に、凛としてなきゃいけませんね、人間。(^-^)
ころりん | URL | 2009/06/07/Sun 00:27 [EDIT]
ころりんさん
盛田さんには数々の名言やエピソードがありますよ。私もこれを機会に英語で彼の著書
「Made in Japan」を読み直してみようかなと思っています。

なぜか日本人は欧米人の前に出るとへりくだってしまう傾向にありますね。私もですが。
同じ人間なので、堂々としたいものです。
TEX加藤 | URL | 2009/06/07/Sun 09:29 [EDIT]
この記事好きです。
Morita replied, 'Fifty years ago your brand name must have been just as unknown as our name is today. I am now taking the first step for the next fifty years of my company. Fifty years from now I promise you that our name will be just as famous as your company name is today.'

この英文の中に高校で習う英文法が散りばめられています。こんなに流暢な英語で営業していたんですね。もちろん話す中身がこの流暢な英文を必要としたんだと思いますが・・・。

must have 過去分詞、as ~ as, promise that節・・・

素晴らしい記事をありがとうございます。TEX加藤さんのこういう記事大好きです!
k2 | URL | 2009/06/07/Sun 11:06 [EDIT]
k2さん
一言一句この通りに盛田さんが話されたかどうかはさすがに分かりませんが、Google等で検索して、原著の日本語に近いものを掲載しました。多少は修正されているでしょう。この英語からは、英語の文法等を超越した気迫を感じます。中学英語でも十分相手に伝わる見本ですね。
TEX加藤 | URL | 2009/06/07/Sun 11:32 [EDIT]
あっぱれ!
ブログって酷ですね。
この記事を読んでからまだ2日しか経っていないのに、もう過去の記事になってしまっています。掲示板と違って「あげ」ができないのがあまりにももったいないので、今日コメントします。不遜すぎるのは重々承知のうえで、盛田氏に「あっぱれ!」そして、紹介していただいたTEXさんにも「あっぱれ!」。
わたしも新プロジェクトがようやく契約につながってきたところです。この記事はおおいなる勇気を与えてくれました。今日はビジネスマンモードでコメントです。
middleager | URL | 2009/06/08/Mon 22:33 [EDIT]
middleagerさん
ハリー&親分風の「あっぱれ!」、ありがとうございます。互いにビジネスマンとして、
英語学習以上に仕事に頑張らねば、ですね。
TEX加藤 | URL | 2009/06/08/Mon 23:01 [EDIT]

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