TOEIC本について2
気が付けば、1月のTOEICのオンラインの結果発表が来週の月曜日ですね。今年の最初ですから、皆さん幸先の良いスタートを切られるといいなと思います。私も脱TOEICといいつつ、ネット発表のスコアをクリックする瞬間はどきどきします。鼻息荒くしつつ「表示」のリンクをクリックするあの緊張感はたまりません(異常ですね)。

昨日は、アマゾンのレビューについていろいろ書きましたが、レビューはすごく役に立つシステムですし、個人がどんな感想を持ってもそれを自由に書いていいと思います。ただ、やらせのレビューや、読んでもいない誹謗中傷のレビューもあるので、本を選ぶ際は、書かれているレビューを鵜呑みにせず、是非自分の判断で購入されることをお勧めします。もちろん、私のレビューも含めてのことです。そうして、自分で選んで購入した本が、仮にいまいちでも、一つぐらいは得るところがあるでしょうし、仮に全く得るところがなくても、得るところがなかったと分かっただけいいか、とポジティブに考えるようにした方がいいと私は思います。

さて、ここから先は、昨日の続きです。私は出版については素人なので、あくまで商品企画という視点でTOEIC本の世界を見ると、ベストセラーが少ない要因の一つとして、マーケティングが不足しているケースがあるのではと思います。これは小説や一般書と違って宣伝投資が少ないといった単純な理由ではありません。

ブログで何度かご紹介した勝間和代さんは、今や「カリスマベストセラー作家」と呼べるほど次々とヒット本を連発していますが、勝間さんが自らの経験から気付かれたベストセラー本作りの5か条というものがあります。

「(単発ではなく)再現性あるベストセラー作りの5か条」
1. その本の顕在・潜在マーケットが十分に大きいこと。
2. その本が独自の世界観、新しいコンセプトを切り開いていること。
3. 出版社のPush以上に、市場からのPullが強いこと。
4. その本のサポーターがどんどん広がること。
5. 1-4の条件づくりに、関係者が一丸となってコミットすること。

これは非常に的を得ているように感じますので、TOEIC本という視点で順に見てみます。

1. その本の顕在・潜在マーケットが十分に大きいこと。
これは大きいでしょう。2007年度には年間約163万人が受験しています。重複があるので、ユニークユーザーの数は不明ですが、数十万人レベルであることは間違いありませんし、ユーザーも入れ替わるので、継続的なマーケットがありそうです。企業や学校では依然としてTOEICが求められるケースが多いので、しばらくは需要が急速に衰えることは考え辛いと思います。「TOEICの点数を上げたい」というニーズは強く、数十万部売れるだけの潜在マーケットはありそうです。ただ、得点別・ジャンル別に絞ると、この市場は小さくなります。例えば、「990点を取るための語彙」といった商品になると、最初から数万人のパイしかなさそうです。

2. その本が独自の世界観、新しいコンセプトを切り開いていること。
これは1以上に重要ですが、TOEIC本で独自性や新規性を打ち出すのは非常に難しいでしょう。1と2を合わせると、「ありそうでなかった本」ということになるわけですが、TOEICに限っていえば難題と思われます。市場に無いからといって、「TOEICパート1の写真にツッコミを入れる」とか、「ETSの謎を解け」のような変な本を出しても仕方ありません。ただ、誰も気付いていない斬新な切り口ってきっとあると思うんですよね。本以外のジャンルでも、飽和市場だと思ったら意外なヒット商品が生まれたケースは多々ありますから。

3. 出版社のPush以上に、市場からのPullが強いこと。
これは私が仕事でも感じていることですが、売れない商品はどんなに広告投資しても売れません。昨日指摘した「やらせのレビュー」は通用しないということです。勝間さんによると、「市場からの引きが強いかどうかは、多くの場合、キャンペーンをしていない中小型書店でどのくらい、よく売れているかが鍵になる」のだそうです。TOEIC本でも、このブログを訪問されているような「TOEIC本の目利き」の皆さんの目にまず留まって、買っていくかどうかの初速が一つの目安になりそうです。逆にそうしたコアユーザーが満足するレベルにないといけない、ということになります。

4. その本のサポーターがどんどん広がること。
売れる本は、ネットでのクチコミ等を通じて、自己増殖的に広がっていきます。私も自分が企画した商品が年間数十億円売れるヒットになった経験がありますが(こっそり自慢)、きっかけはネットのメルマガでした。今や、ブログ、メルマガ、SNSなどは、ベストセラーを生み出す上で大きな役割を果たしています。勝間さんは「はてなブックマーク」が自分の著書をベストセラーに押し上げた一連の動きを、「はてブトルネード」と命名されています。ご興味のある方は、「はてブトルネード」でググッてみてください。

5. 1-4の条件づくりに、関係者が一丸となってコミットすること。
コレが最も大切です。勝間さんも次のようにおっしゃっています。

これまで、私が知っている範囲で、偶然生まれたベストセラーはほとんどありません。多くの場合は、ベストセラーになりうる1-4の要素を持った本について、まずはそういったコンテンツをていねいに作り込むこと、そして、つくったものをていねいに市場に伝えること、の2つを著者・編集者・販売関係者が一丸となってコミットしたときにのみ、爆発する可能性が生まれると感じます。

以前のエントリーにも書きましたが、偶然売れることはないとはいいませんが、それを必然にするため、著者は本を書く努力と同じくらい、売る方にも努力をするべきというのが私のポリシーです。なぜなら、どんなにいい本を書いたと思っても、それが読者に届かなかったら、ただの自己満足だからです。

勝間さんは本を出版される際、どこの出版社からどのような書籍を出すのかを考え、出版が決まったら、発売後も半年程度は毎日のように「チーム関係者」にメールを発信し、自らも書店を訪問してはPOPの作成に協力したり、ブログやSNSの書評をチェックされているそうです。私の知人も自分のミクシィの日記に勝間本の感想を書いたらすぐに足跡が残っていてびっくりしたそうです。それぐらい売るための努力をされているということですね。

TOEIC本や英語学習本でも、著者・編集者・販売関係者が一丸となって独創的かつ良質のコンテンツを生み出し、勝間さんのような成功例がどんどん生まれ、我々読者に多くの「気づき」を与えて欲しいなと思います。私もいつか書いてみたいですね。TOEICをテーマにした恋愛小説。「国際花子の憂鬱」とか、「英語空」とか。あ、もちろん冗談です。

気づいたらマニアックな内容の超長文で恐縮です。読み流して頂ければ幸いです。

↓と言いつつ、最後まで読んで頂いた上にクリックまでお願いする男。
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Comment

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TOEICに関してはもちろんのことですが、TEXさんのお仕事に関係する記事を読むたびに圧倒されます。自分が知らない世界だというのもありますが、ほんとにすごいですね・・・。競争の中で生きてる、っていうか、なんか言いようがないですけどすごいです。同い年だと思うとまた、私はどこで道を間違ったんだろう、とため息が出る思いです(^_^;)。ま、人それぞれですけど・・・(←まだ立ち直ってない(笑))。

すいません、記事の本旨についてのコメントじゃなくて。ちょっと変に感動してつい、書き込みにきてしまいました。

あ、あと・・「国際花子の憂鬱」は是非執筆してほしいです(題名に衝撃を受けました(爆))。
では。<(_ _)>
ころりん | URL | 2009/01/29/Thu 23:54 [EDIT]
TOEIC本企画
TEXさん
こんにちは!
私も本旨と関係ないコメントで恐縮ですが、「国際花子の憂鬱」に反応してしまいました。是非読んでみたいですねぇ~。
私はTOEICを題材にしたミステリー小説をいつか書いてみたいと思います。

『講師Xの告白』「TOEICブロガーを次々に襲った謎のスコア急降下現象。しかもPart2だけが。TOEIC満点講師がブロガーが協力して分析と調査を始めるが、意外な犯人と意外な動機が判明する。そして実は講師は・・・」

商品企画的にはどうでしょうか?

OJiM(オジム) | URL | 2009/01/30/Fri 00:36 [EDIT]
ころりんさん
こんにちは。このブログの内容は実際の仕事より水増しされています(笑)
普段は競争なんて事は考えてなくて、企画を通じて世の中の人をハッピーにできるといいなあとそればかりをぼーっと考えて、時折仕事しています。ころりんさんは素晴らしいお仕事をされているのではと思います。少なくとも私に歌で人を感動させることはできません。「国際花子の憂鬱」人気ですね(笑) あの写真が気になっているのは私だけではなさそうです。
TEX加藤 | URL | 2009/01/30/Fri 07:00 [EDIT]
OJiMさん
こんにちは。国際花子の人気に嫉妬(笑) ミステリー小説、いいですね。ただ、まじめな話をすると、この手のエッセイや小説って、よほど内容にオリジナリティがないと売れないと思います。もしくは、ネームバリューのある一流の方に書いてもらうか、ですね。片手間に小説書いて売れるほど甘くは無いでしょう。レイトン教授のように謎解きとゲーム性がうまくミックスされた一流のエンターテイメントなら売れるかもしれませんが。

また、5つの法則のうちの1が既に、「TOEICマニア」に限られてしまい、数万人、下手すると数千人規模のパイになってしまいそうです。唯一万単位で売れる可能性があるのは、著者をETSにすることですね。公式エッセイ(笑) あ、真面目にコメントしてしまいました。すみません。
TEX加藤 | URL | 2009/01/30/Fri 07:07 [EDIT]
>企画を通じて世の中の人をハッピーにできるといいなあとそればかりをぼーっと考えて、時折仕事しています。

私事で申し訳ありませんが、私も去年の忘年会で以下の事を友人に言われました。

「おまえは生徒の人生背負ってるんだぞ」

「おれは教師の経験ないけど生徒の経験ならあるからいわせてもらうけど・・・」

その志は素晴らしいですねー。
私もこの生徒達が将来幸せになれるようにと日々授業をこなさなければとあらためて思いました。感謝します。

P.S.

時間がありましたら是非『きみの友達』を読んでみてください。
私にとっての重松清氏の最高傑作でした。

そもそもこの本の書き方が私にとってはブレイクスルーでした。
そのブレイクスルーを味わってください。
もし人生が1週間しかなくて、読む本が限られたら必ず再読する本です。

勝間氏流に言うと、人生が今日で終わるとしたら読む本でしたっけ?(笑)

売る努力ですかー。確かに良書なのに眠っている本はたくさんありますからね~

ただ、私が思うにベストセラーは一過性の可能性もあるのも否めません。
『電車男』『ホームレス中学生』・・・。
この本はブックオフに行けばありふれています(笑)

10年経ってもちゃんと顕在している本こそベストセラーというのが私の持論でもあります。売れれば良い、100万部売れたから良書というわけでもないんですよね。

だからこそ司馬遼太郎氏の本やシェイクスピアなどの古典というのはすごいと思います。たとえ何年たっても色あせませんからね。
k2 | URL | 2009/01/30/Fri 20:29 [EDIT]
k2さん
こんにちは。「きみの友だち」読んでみます。「流星ワゴン」と「トワイライト」が未読で部屋に眠っているのですが(笑) ベストセラーでロングセラーというのはなかなかないですよね。ビジネス書では、松下幸之助さんやカーネギーの本はすごいです。あ、そういえば、重松さんの小説の中に小道具として、自分が企画した商品が出たことがあったんですよ。さすがに嬉しかったですね。ではでは、週明けにはいよいよ1月のTOEICの結果発表ですね。
TEX加藤 | URL | 2009/01/30/Fri 21:38 [EDIT]
立ち読みで読み尽した本です(笑)
すっかりTEX加藤さんのブログにはまってしまったk2です(笑)

私の人生で立ち読みで読み尽した本が2冊だけあります(笑)
1冊は大学1年の時に読んだ、『世界の中心でさけぶ』です。
柴咲コウさんの
「泣きながら一気に読みました」という帯が目につき気がついたら2時間その本屋でその本に没頭していました(笑)

そして2冊目が『きみの友達』です。
正直、電気が流れる感じってありますよね?
まさにTime flies.の状態。

ゆえに未読はありえないんです。それくらい1度手にして、読みだすと止まらなくなる本です。ちなみに私も『トワイライト』『流星ワゴン』も読みましたが、一気読みではありませんでした。

根本的に構成が違うんですよ。
あれは本当に会心の一撃でした。

これ以上言うと誇大広告になるので控える事にします。
最後に、私にとっては『奇跡のリンゴ』レベルでした。内容は違いますが、それくらいの衝撃はあります。
ただ、主観的要素があります。私の学生生活でみたような光景があまりにもリアルに書かれていたというのはあります。

しかし、友達という概念は普遍的なので、この本は20年後にも学校の図書館にあるのは間違いないでしょう。

TOEICの結果がわかりますね。
今回はともに学んだ友人が目標スコアを到達しているかどうかの方が気になります。私は飛躍的なスコアアップは望めないので・・・(笑)

英検も自己採点しましたが壊滅的でした(笑)
不合格Bくらいでしょうか。
お陰様で6月に語彙分野満点を取るという楽しみができましたよ。

こんな若造のコメントに毎度親切にコメントしていただき誠にありがとうございます。
This blog makes me passionate and enthusiastic.
Thanks a million.
k2 | URL | 2009/01/30/Fri 23:23 [EDIT]
k2さん
す、すごい絶賛振りですね。これはもしや関係者の方では(笑) 少年を主人公にしたものなら、「エイジ」や「ナイフ」も感動しました。って読んだのがだいぶ前なのでうろ覚えですが。友人のTOEICの結果が良いといいですね。意外といまいちかな、と思ったらスコアが良かったりする可能性もあるので、k2さんの得点にも期待しています。私は多分満点でしょう(超楽観的)。こちらこそ、いつもコメントありがとうございます。Thanks a trillion!
TEX加藤 | URL | 2009/01/30/Fri 23:50 [EDIT]

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