上原投手と言えば、以前TVで見たあるシーンが私の記憶に焼き付いています。それは、試合前に上原投手が立った相手に対して軽くキャッチボールをしている姿です。ぴんと伸びた背すじ。高く跳ね上げられた右ひじ。骨がないんじゃないかと思うくらい柔らかく鞭のようにしなる前腕。それらが連動した投球動作がとにかく美しくて思わず魅入ってしまったんです。
私は野球については詳しくありませんが、あの美しいフォームは、気が遠くなるほどの基本練習を来る日も来る日も重ねる中で、余計なものがすべてそぎ落とされて到達した究極美だと思うのです。先日、体操の金メダリストの倒立を見た時にも感じたのですが、本物のプロは、素人にもできる基本動作だけで、常人には到達できない域にあることを示せるのでしょう。
分野は違いますが、テスト製作のプロであるETSにも同様の「プロ美」を感じます。彼らが作る問題には超一流のプロだけが持つ様式美があって、それは我々常人には到達できない域にあるのです。もちろん、我々著者はなんとかそれに近づけるよう研さんを重ねてはいますが、プロ野球でいえば、ETSは上原選手のようなスター、我々は2軍か、頑張っても普通の1軍選手ほどの「努力では埋めがたい差」があるように思います。
たとえが適切かはわかりませんが、私は自分が「なんでも鑑定団」の鑑定士のような存在だと思うことがあります。たとえば、本試験で出題されるPart5の穴埋め問題では、正解はぱっと見でほとんどわかります。ETSの様式美に合う答えが一つしかないからです。これは、本物か偽物かが見た瞬間にわかる鑑定士と同じなのではと思うのです(もちろん、鑑定士だって人間ですから間違うこともあります)。
講師や著者の仕事を続けているうちに、こうした「TOEIC審美眼」はいつの間にか身についてしまった気がします。身に着けたいと思ったことはありませんし、持っていてもあまり役には立たないものですが。授業や著書で「これが一番美しいから正解」などという解説をしたら、生徒や読者から苦情が殺到しますしね。鑑定士なら審美眼を生業にできますが、我々はTOEICの正解がわかったところで、それだけでは生きていけないしなあ(ぶつぶつ)。
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今年度初めからTOEICに沿った英語学習を始めたばかりの身には「マジかよ?」というしかない世界があるのでしょうね。
スクリプト見ながらなら100%わかるのに、耳だけだと置いてきぼりになってしまう程度のレベルでは、TEXさんの見えている世界に まだ足を踏み入れていないのだと思います。
今は9月29日の公開テストに向けて、読解特急や金フレ、神崎先生のご本等で準備をしています。
都の西北での公開テスト初の900台確保を目指します。

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