全体としては、本番よりも語彙や文章内容がやや難しいかな、とは感じましたが、さすがに問題の質が高くて、やっぱりETSの中の人はすごいなあと思ってしまいました。公開テストだといつも20分弱時間が余るのですが、読ませる問題が多くて10分程度しか余りませんでした。まあ、「あ、ユーロが€じゃなくてeuroになってる。せっかく本にユーロマークの由来の説明まで入れたのに」とか、ちょっとマニアックな部分に時間を取られたせいもあるかもしれません。
それにしても、パート5のうっかり間違いそうになる選択肢とか、パート7でも読みが浅いと間違ってしまう選択肢が巧みに織り込まれていて、当たり前ですがよくできていますね。ただ、残念なのは、過去3作もそうでしたが、解説が少ないことです。特に、初中級者だと、解答を見るだけではなぜ間違ったのかが分からない問題があるので、文法書を参照したり、英辞郎等で用例を確認して、不正解の理由をはっきりさせる必要があります。
パート7については、解いた後、分からなかったパッセージはできれば精読して、文章全体の意味を把握するようにしたいですね。かなり深く読まないと間違いの理由が分からない問題が幾つかあって、精読用には最適なマテリアルです。
この公式問題集は、TOEIC頻出単語や頻出表現の宝庫なので、このブログの読者の皆さんも、もし購入されたら、解きっぱなしではなく、是非フル活用してほしいなと思います。TOEIC対策という意味合いだけでなく、使える英語ですから。
とはいえ、「TOEIC」のための問題集なので、TOEIC対策という視点で見ると、この問題集を解いてみて改めて感じたのは、これまでと多少傾向が違う問題があっても、基本は同じということです。すべては基本の応用です。難関のリーディングパートも、TOEICに特化した学習をしたり、試験テクニックに頼らずとも、英語を読む力さえあれば解けます。
地道に作った基礎の上に、多読や精読を積み重ね、公式問題集で問題形式に慣れ、試験を実際に受ける、これがTOEICのリーディングパート対策の基本だと思います。これは将棋と同じです。定石を一通りマスターして、後は実戦と研究を積み重ね、どんな戦型にも柔軟に対応できる力を身につけるのが王道です。あまりTOEICというテストに縛られず、楽しく、根気強く、マイペースで英語学習を続け、総合的な英語力をUPさせれば、スコアアップにもつながります。
この記事とは無関係な内容ですが、大前研一さんの英語のスピーチを見つけましたのでご紹介です。この堂々とした話し方、すごいですよね。こんな風に自分の考えを英語でプレゼンできたら素晴らしいですね。
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これは大学受験に限った話ではなく、英文読解に共通するスキルですよね。当然、TOEICのリーディングセクションでも、この能力が高いとスコアも上がります。
例えば、パート7のレターで、
Thank you for taking the time out of your busy schedule to talk to me about the Marketing Director position at TEX Corporation.
とか、
It was very enjoyable to speak with you about the Marketing Director position at TEX Corporation.
とあったら、「面接終了後に企業に対して応募者が送っているサンキューレターだな。TEXコーポレーションのマーケティングディレクターに応募したのか」と文面を理解するだけなく、「ということはこの後は、面接で話した以外に自分はこんな能力もあって、御社に必ずや貢献できます、とか、私は御社にとって最適な候補者だと確信しました、といった、いかにも外国人的な押しの強さでアピールして、最後はI am looking forward to hearing from you soon.あたりで締めかな」等、先を予想することが大切です。
ここでは背景知識も大切ですね。「面接を受けたら普通は、お礼とアピールを兼ねたサンキューレターを書く」という常識がないと、「この人、何のためにお礼の手紙書いてるのかなあ」などと、状況を理解するのに時間を取られてしまい、その時点で大きな時間的ハンデを背負ってしまいます。まあこのあたりは仕事をした経験のある社会人の方なら、問題ないでしょうが、高校生や大学生には不利かもしれません。
さらに、その次の文章で、
It was a difficult decision to make, but, I have accepted a position with another company.
とか、
Unfortunately, I will not be accepting the position as it does not fit the path I am taking to achieve my career goals.
とか書かれていたら、そこで、「あ、これはThank you letterではなくて、Job Rejection Letterだ」と気づいて軌道修正しなければいけません。「But」とか「Unfortunately」あるいは、「However」といった逆接のキーワードを見た時に、どれだけ素早くフレキシブルに脳内ストーリーを修正できるかで、解くスピードや正確性が変わってきます。
ここでちゃんと修正ができず、適当に読み飛ばしてしまうと、
What is the purpose of the letter?
(A) To express appreciation
(B) To reject an offer
(C) To file an application
(D) To request information
といった問題に対して、「(A)謝意を示す」を選んで間違ってしまうことになります。
事前に展開をある程度予想しておいて、仮に違っていたら素早く軌道修正する、これができるかどうかが特にパート7のスコアと直結すると思います。そのために大切なスキルの一つは、以下の部分をさっとチェックすることです。
(1) Question XX-XX refer to the following XXX という部分
ここを読むと、広告・お知らせ・メール・レターといったパッセージの種類が分かります。
(2) パッセージのタイトル
言いたいことは見出しに集約されます。「新装オープン」「パーティーのお知らせ」等、広告や告知系のパッセージでは特に大切です。
(3) メール・レターの、差出人、受取人、日付、件名
当たり前の話ですが、二人の関係が分からないと問題は解けません。また、件名に、メール・レターの目的が書かれていることがありますし、日付が設問に絡んでくることもあります。レターの場合、定型の書式を把握しておくことも大切です。
(4) 冒頭の一文
多くの場合、そのパッセージの目的はここに書かれています。一番大切な部分です。集中して読みましょう。
こうした事前情報をしっかりと素早く頭に入れ、その後の展開を予想できれば、読むスピードが格段に上がりますので、問題を解く際に意識されるとよいと思います。また、予想が違っていることに気付いたら、フレキシブルに軌道修正できる柔軟力を、多読・精読によって身につけたいところです。
今日は選挙ですね。投票してこないと。やっぱり民主党の圧勝でしょうか。
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