英検を受けた夏(その2)
二次試験の会場の教室では、他の受験者のスピーチを聞くのがとにかく楽しみでした。自分のことはさておいて、仮にも英検一級の一次試験をパスした人ばかりなので、きっとすごいんだろうなあ、どんなすごい英語が聞けるんだろうなあ、などとわくわくしていました。

私は、確か20人中、11-12番目くらいにスピーチする席順だったので、まずは他の受験者の様子を参考にして、優れた部分は盗んで自分のスピーチに使おうというよこしまな気持ちもありました。試験官は、日本人と外国人が一人ずつの二人。外国人の方は、見た目からして、ラテン系の印象です。受験者の緊張を解きほぐそうとしてか、入室するなり軽いジョークを飛ばしていました。

番号を呼ばれた受験者は、試験官の前に進み、机に置かれた封筒を開けて、中に書かれているトピック2つのうちから1つを選び、1分考えて2分スピーチ。スピーチ終了後に試験官と簡単な質疑応答を行う、という試験内容です。いよいよ最初の受験者が呼ばれ、スピーチが始りました。

ところが、驚いたことに、受験者が皆緊張からか、スピーチがぼろぼろなんです。覚えている限りで、以下のようなスピーチが続きました(実話です)。

○スピーチが始って、いきなり10秒以上沈黙
○タイトルを何度も繰り返してしまってスピーチがなかなか始まらない
○スピーチが2分で終わらず、試験官に「終了です」と言われているのに、「まだ終わってません」と答えて、それからさらに数分スピーチを続けた
○試験官の質問に対して、女性蔑視的な発言をして、「日本文化ではこうなんです」と断言した

今でも覚えているのが、「好きなTV番組(My favorite TV program)」というタイトルでスピーチをした女性です。「私が好きなTV番組は○○です。なぜなら、ブリティッシュイングリッシュが美しいからです」って話したんですね。当然、試験官は明らかに英国人ではないので、「ではあなたは、ブリティッシュイングリッシュ以外の英語は美しくないと思っているのですか?」って不機嫌そうな表情で突っ込みを入れられて、「はい」って答えたんです。その場の空気が凍りつきました。

結局、私の順番が来るまでに、しっかりスピーチができたのは1人だけでした。おじさんでしたが、見事なまでに慣用表現なども盛り込んで、まったく詰まることなく、きっちり2分で締めたので、よほどの英語の達人か、事前に暗記してきた内容が出たのだと思います。

それまでの受験者のスピーチを聞いて、私が心がけようと思ったのは、リラックスして、2分間普通に話をして、できれば試験官と楽しい雰囲気で会話を交わすことでした。最初はジョークで皆を笑わしてくれた試験官が、スピーチを聞きながら、だんだんうんざりした表情になったり、窓の外を見たりしていて、まったく楽しそうに見えなかったんです。なので、「スピーチの内容はぼちぼちでも、笑わせたら通るかな」って思いました。

そうこうするうち、私の順番になり、封筒を開けると、そこに書かれていたトピックは、「social welfare」と「the magazines I regularly read」でした。 社会福祉なんて何を話していいかさっぱり分からないので、寸分も迷うことなく後者を選択し、以下のおおまかな構成を考えました。

私が定期的に読んでいる雑誌は、TIMEとNEWSWEEKです(たまにしか実際は読んでいないけど)。
外国語大学で英語を専攻している私がこの二つの雑誌を定期購読する理由は二つです。
一つは、英語力を高めること。もう一つは、今、世界で何が起こっているのかを知ることです。
英語力を高めるということについては、二つの異なるスタイルで書かれている英語に接することで、単に一冊の雑誌を読むよりも、語彙力や読解力を向上させるのに役立つと思います。
また、日本の外で起こっていることを知るのに、二つの雑誌を読むことで、情報や視点が偏らず、違った視点から世界を見ることができると思います。
これからも継続してこの二冊の雑誌を読み続けることで、自分自身の英語力や知識をさらに高めていきたいと思います。

で、実際にスピーチをしてみたら、これがなんとジャスト2分で終了。もちろん時間を計りつつスピーチする余裕なんてないし、ラッキー以外の何物でもありません。「うわ、2分ちょうどで計ったように終ったわ。ついてるなあ」って自分で驚いたくらいですから。

その後の質疑応答で覚えているのは、「英語の雑誌を定期的に複数読んでいたら、フラストレーションがたまらないか?」という質問です。ここだ、とばかりに、「そりゃそんなことばっかりしてたらフラストレーションがたまるので、テニスしたり、女の子と出かけたり、パーティーしたりして、ストレス発散してますよ。あ、窓の外を見ると今日は青空が広がっていい天気ですよね。こういう日は泳ぎに出かけたいですよね」って返しました。笑いはとれませんでしたが、試験官が笑顔になったので、作戦成功です。

スピーチの内容自体はたいしたことないものでしたが、合格できたのは、面の皮が厚いのと、その場の空気を読めたからではと思います。

あの夏のことは20年たった今でもよい思い出です。最近は英検一級のレベルが上がっているそうなので、受けたら確実に落ちそうですね。フロックだったことが明るみに出るので、もう受けたくありません。

しかし、こんなブログでは英語を勉強する方の役に全く立っていませんね・・・ 単なるオヤジの自慢話&昔話だと思って聞き流していただけると幸いです。さらにブログランキングなどクリックしていただけると、さらにどうでもよい英語にまつわる話を調子に乗って書き込みます。


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